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自殺考える若者へ―“どん底”経験した言葉

2019年4月4日 15:37
自殺考える若者へ―“どん底”経験した言葉

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「若年層の3割、自殺したいと考えた」。病気を乗り越え、現在、“7本の指で奏でるピアニスト”としてアメリカやヨーロッパで活躍する西川悟平氏に聞いた。

日本財団が18歳から22歳の若者、約3000人に行った調査によると、「本気で自殺したいと考えたことがある」と答えた人は、男女平均で3割にのぼった。「学校でのいじめ」が大きな原因となっているという。ネット上では、「救ってあげる態勢づくりを望む」「つらい時期に考えたことはよくあった」「歌手のライブで『生きててよかった』と思った」などの声があがった。


――フリップをお願いします。

『The worst case scenario can turn out to be the BEST case scenario!!』と書きました。これは僕の好きな言葉なんですが、最悪の出来事もちょっとした考え方と行動の違いによって「最高」の出来事に変えることがあると。全部が全部であるとは言いません。でも僕も実際、手首を切ろうと自殺未遂をしたこともあります。なぜなら(病気のためにピアノを)二度と弾けないと言われたこともあったからです。

いじめとは違いますが、どうしていいかわからなかったし、逃げ道も出口もない真っ暗な状態って誰にでもあると思うんです。けれど、必ず出口はあるよ!ある!


――実感がこもってますね。

僕は死のうと思った時に、地球儀を回しました。その回っている地球儀を見た時に、日本がこんな小さかった、海は大きく、アフリカもあって…世界はまだ広いやと思ったんです。結局自分でピアノを弾いて、世界中をまわろうと決めました。そして今やっと…15年ぐらいかかってやっとできるようになりました。

若ければ若いほど経験が少ないので大変だとは思います。先日、いじめ問題で若い人と話す機会がありました。「居場所がないということを誰に相談していいかわからない」「みんなと同じようなことをしていなければいけない」「いじめがあった場合、教師のほうも注意すると虐待と言われる場合がある」――世の中が便利になって、法律もきれいになっていけばいくほど窮屈になっていくこともあると思うので、子ども一人ひとりの意見を聞いてあげられるプライベートな場所があればいいと思います。僕でできることがあったら相談に乗るよと。


――今悩んでいる人たちにメッセージがあるとすればどんなことでしょう。

口に出して自分のやりたいことを前向きに言うんです。例えば、「学校が楽しくなる、俺は夢に向かってがんばる、それはできるんだ、できるんだ」とずっと言い続ける。僕はそうやってきたんですね。そうなるとだんだん思考も変わっていくし、態度も変わっていく、自分が変わると周りが変わります。周りを変えようとしても変わんないよ!


――そうやって西川さんも自分を変えてきた?

変えてきました。何でみんなわかってくれないんだろうとか、何で自分だけがつらいと思っている時は泣いてばかりいたんですが、「自分が変わればいいんだ」と思ってやってきたら、いろんなものが…今日はこんな美女の横でしゃべらせていただいたりとか。純粋無垢(むく)で、世の中が全て楽しかった時間もあったけど、全てがダメだと思う時代もあったけど、すべて結局は前向きに行動していけばいいと思うんです。


――いろんなことを乗り越えて今の西川さんがあるわけですね。

どうしていいかわかんない人は、いろんなことをやってみればいいんです。旅行に行ってみたり、キャンプしてみたり、ゲームが好きな人はゲームでその道のプロになればいいし、やっているうちに見えてくると思います。ニューヨークに行って、本当にいろんな文化の中でもまれて、世界は広いなと思いました。ちょっとしたことで悩んでた自分がバカバカしく感じました。


――世界に出てみるという手もありますね。

バックパック持って、僕もイギリスを横断したりとかしました。ホテル代がなくて、ホームレスになって電話ボックスに寝たこともあります。


――みなさん励まされたと思います。

絶対に出口はあります。


■西川悟平氏プロフィル
「7本の指で奏でるピアニスト」としてアメリカやヨーロッパで活躍。ピアニストとしてニューヨークで成功を収めつつあった24歳の時に、筋肉が硬直してしまう神経障害「ジストニア」を発症。医師からは「一生ピアノが弾けない」とまで宣告された。「せめてもう一曲だけ」――その思いで指に1音1音覚えさせる練習を10年近く続け、奇跡的に回復。左右で7本の指を使って演奏ができるまでになった。自らの奏でる音楽が聴く人の心を癒やし、世界が明るくなることを目指している。


【the SOCIAL opinionsより】